前回の記事でも書いたように、フィニアスとファーブの最終回「最後の夏休み~The Last of Summer~」はキャンディスとドゥーフェンシュマーツ博士が主役のエピソードでした。



最終回のエピソードをおさらいすると、夏休み最後の日、キャンディスとドゥーフェンシュマーツ博士の二人は「一日のやり直し」という禁断の悪企みをするわけです。

それが結果、兄弟を失いかける危機を招きますが、最終的には兄弟の力を借りながらも、キャンディス自らの力で、世界を元に戻しました。



一応同時進行で、ペリーの助けを借りながらドゥーフェンシュマーツ博士も世界を元に戻そうとしたわけですが、結局博士の機械はコンセントに繋がっていなかったため、まぁこちらは小さな世界の自己満足に終わったわけです。


その後登場人物全員で大団円の流れが最終回「最後の夏休み~The Last of Summer~」だったわけですが。。。



さて。



ずっとフィニアスとファーブを見続けた人ならば、気づいたかもしれません。



この最終回だけ、いつもと物語の進行パターンが違いましたよね?




いつものフィニアスとファーブなら、フィニアスとファーブが互いの閃きと発明によって凄い遊びを友達と一緒にする。

それをキャンディスがママに告げ口しようとする。

同時進行で、ドゥーフェンシュマーツ博士が何やら悪企みを始める。ペリーはドゥーフェンシュマーツ博士の元に向かい、博士の悪企みを阻止する。


結果、何故かフィニアスとファーブの凄い遊びは跡形も消え、キャンディスはママへの告げ口に失敗するというのが、フィニアスとファーブの固定されたストーリー展開だったわけです。



今回はそうなりませんでしたよね。何故でしょうか?私はこう考えました。キャンディスとドゥーフェンシュマーツ博士が、いつもと違う行動をとったからです。


即ち、非常に活発な兄弟達に対して、キャンディスは夏休み中、ずっとやることをやらず、兄弟達の告げ口に終始時間を割いていたわけです。そしてずっと、失敗を繰り返していたわけです。



またドゥーフェンシュマーツ博士も、本来ならば一人の娘を持つ親として、年齢相応のきちんとした大人な振る舞いをする必要がありました。ところが、博士はずっと子供のイタズラレベルの悪企みばかりを続け、結果、娘の子育てをほったらかし、挙げ句の果てに、毎回容赦なくカモノハシに懲らしめられていたというわけです。



最終回は違いましたよね。




キャンディスは兄弟をママに告げ口することではなく、兄弟を助けようと必死に行動しました。結果、兄弟達は助かり、最後、兄弟達と共に、家の庭の大きなステージにてライブをやるわけです。もう、それをいちいちママに告げ口することなく。ママもそんな娘・息子達を最後はさらっとスルーしましたね。



こうして、キャンディスの兄弟をママに告げ口ばかりを繰り返しては失敗する、長い長い夏休みは終わったわけです。


またドゥーフェンシュマーツ博士も、何度も何度も一日をやり直す中で、だんだんと自分の娘と向き合う必要性について理解していきます。そして、自分の振る舞いに疑問を持ちます。最終的には、娘の要望を受け入れ、悪の科学者から足を洗い、良い人になります。


そう、博士もまた、悪事を働き、カモノハシに懲らしめられ続けていた繰り返しの無限ループを抜け出し、最後の夏休みを無事終えられたというわけです。



フィニアスだけは、さらにそこから10年の歳月がかかりました。「もう子供じゃいられない~Act of Age~」のエピソードですね。


最後の夏休みから10年後、ようやくフィニアスは進路を悩む中で、子供の頃からずっとずっと夏休みを一緒に過ごしてきたイザベラの存在を意識し始めます。そして、同じ大学に進学することを決めたのです。


今までのフィニアスならば、ずっと自分が関心を持つ理科や機械のことばかりを考えて大学を決めていたに違いありません。高校卒業間近で、行動を変えたのです。


10年の歳月を経て、ようやくフィニアスも夏休みを抜け出したということです。



以上、というのが、私の思うフィニアスとファーブという作品のエンディング解釈でした。



勿論、これは私の受け取り方であって、本当に原作者が意図していたものとは、違うかもしれません。


ですが最終回を見終わり、皆さんも私同様、形は違えど、心の中に様々なフィニアスとファーブを持っているんじゃないでしょうか。


私はそれがフィニアスとファーブという作品が、本当に本当に素晴らしい作品であった証拠だと思うのです。




最終回のエンディング終了後、ディズニーアニメーションのロゴがテレビ画面に出たとき、この作品はディズニーの歴史に永遠に刻まれる作品になったなと思いました。


こんな素敵な作品に出会えたことに、ディズニーと原作者の二人に深く深く感謝です。ありがとう、フィニアスとファーブ。そして、ペリー。